なんとなくもやもやする。怒りやイライラが止まらない。でも、理由が分からない・・。そんな時におすすめなのは、起きたことを文に書き起こしてみることです。自分の思考と行動をメタ認知することで、感情の原因が分かってスッキリしたり、具体的な解決方法を考えることができるためです。今日は、休み方の1つとして「今日起きたことを文にする」をご紹介します。
メタ認知とは?
そもそも、メタ認知とは何なのでしょうか?もともとは、認知心理学のアメリカの心理学者ジョン・H・フラベルさんが使っていた心理学上の用語でした。最近では、働く上でもメタ認知の考え方が大切だと言われるようになり、ビジネスマン・ウーマンの間でも広く知られるようになってきています。
言葉を分解すると、「メタ」とは、超越した・高次のという意味。「メタ認知」は、超越した認知、高次の認知。つまり、自分という存在を客観的に捉えられることだと考えます。
すごく怒ったり、悲しみの中にいた経験がある方は、ちょっとだけ思い出してみて下さい。周りが見えなくなったり、自分の感情でいっぱいになっていたのではないでしょうか。客観的とは反対で、自分の状況を冷静に見れなくなってしまっていますよね。
メタ認知は、そんな自分のことを、少し遠くから俯瞰して見ているイメージです。
例えば、待ち合わせに彼氏が遅刻して、怒りを感じている時を考えてみましょう。「もう本当にありえない!まじムカつく!」と怒りに我を忘れてしまっているのが、メタ認知ではない状態。「今私はかなり怒っているなあ。彼氏が1時間も遅刻してるんだから、仕方ないよね」というのがメタ認知に近い状態です。
このように自分の思考や行動を客観的に見られるようになったり、俯瞰して捉えられる認知の方法を、メタ認知と呼んでいます。
メタ認知の効果
そんなメタ認知には、毎日の生活を送る上でプラスの効果があります。実際に、メタ認知が抑うつ状態を低減させる要素の1つだという実験もあります。
①感情に振り回されづらくなる
怒りすぎて相手に言いすぎてしまったり、悲しみが強いあまりに自暴自棄な行動を取ってしまったり。感情に振り回されると疲れますし、後で後悔することも多いですよね。
自分を客観的に捉えられるようになると、感情とうまく付き合えるようになりますよ。例えば、怒っていることだけにフォーカスするのではなく、なぜ怒っているか?どうしたらおさまるのか?など考えられるようになるからです。
特に、感受性が豊かで、感情の振れ幅の大きさに振り回されることが多いと感じている方におすすめです。
②次へ生かせる
メタ認知できていない状態では、なぜ自分はこの行動を取ったり、このような感情になったのか?自分の行動や思考を振り返ることができなくなってしまいます。
感情を大切にすることは素敵なことです。しかし、いつも同じことが原因で怒りや悲しみを感じているならば、客観的になることで避けられるかもしれません。
また、お仕事上でいつも失敗したりうまくいかないことがあるならば、俯瞰して考えて見ることで、次は成功するかもしれません。
このように、自分を客観的に捉えられると、思考や行動の理由を考えられるようになります。そして、次に同じようなことがあった時に、冷静な対応ができるようになるのです。
③長所も短所も受け入れられる
誰かに長所を褒められた時、必要以上に謙遜したり、後から恥ずかしくなってしまう経験はありませんか?また、短所を指摘された際、冷静に答えられずに激昂してしまったり、何日も引きずって落ち込んでしまったことはないでしょうか。これらは、メタ認知ができていない結果と言えます。
自分の長所も短所も、客観的に自分を見ることができれば、素直に捉えられるようになります。長所に謙遜しすぎたり、短所に落ち込みすぎることなく、自分そのものを捉えられるようになっていくのです。
長所も短所も受け入れられるようになると、とても楽になります。言われるたびに感情が大きく揺さぶられることなく、冷静な状態でいられるからです。
思考と行動のメタ認知を鍛えられる、簡単な方法
メタ認知のトレーニングはいくつかありますが、簡単にできるおすすめな方法は、寝る前に今日起きたことを文で書き起こしてみることです。特に、日記をつけると心が安らいだり、冷静に自分を見つめ直すことができた経験を持つ方におすすめです。
朝起きてから寝る前まで、起きたこと(行動)を順番にざっくりと振り返ってみます。
<例:行動>
朝起きる
電車に乗って会社に行く
仕事:メールの返信/営業先の整理
お昼ご飯:同僚とパスタを食べに行く
仕事:営業先を5件回る、1件成約
電車に乗って家に帰る
お風呂に入る
昨日作ったカレーを食べる
彼氏とLINEをする
寝る
次に、感情が動いた記憶がある瞬間を、付け加えていきます。ただ「嬉しかった」「怒った」の感情だけでなく、なぜそのような感情になったのか?何を考えた結果なのか?も、あわせて書いて行くのがポイントです。
<例:思考・感情>
朝起きる
→あまり気分が良くない。昨日の二日酔い
電車に乗って会社に行く
→テンションが低かった。今日はいつもより1本遅くて、かなり混んでたから。
仕事:メールの返信/営業先の整理
→めんどくさい。昨日サボった分もやらなきゃいけなかったから。
お昼ご飯:同僚とパスタを食べに行く
→楽しかった。同僚と恋話で盛り上がったため。
仕事:営業先を5件回る、1件成約
→達成感。疲れたけど、大口の成約が取れたため。他の4件もフォロー頑張る。
電車に乗って家に帰る
→まあまあいい気分。帰りは空いてて座れたからラッキー。
お風呂に入る
→快適、気持ち良い。昨日買ったバスソルトを新しく使ったから。
昨日作ったカレーを食べる
→あまりテンション上がらない。カレーは飽きた。明日はアレンジしてカレードリアにしよう。
彼氏とLINEをする
→幸せ。今日はたくさんやり取りできたから。
寝る
このように大まかでいいので、今日の行動・その時に感じた感情・そしてなぜ感じたのかを書いていきます。自分の行動と感情を思い出し、理由を考えることで、自分の思考と行動を俯瞰して捉えられる=つまりメタ認知できるようになっていくのです。
メタ認知しすぎることの注意点
俯瞰して自分自身を捉えられるようになると、冷静な判断ができたり、感情的になりすぎずに穏やかに過ごしやすくなるメリットがあります。
一方で、メタ認知を取り入れすぎても、心が疲れてしまうことがあります。客観的に自分を捉えられるようになるため、周りからどう見えているのか気になりすぎてしまったり、自分の感情を感じ取る前に先回りして制御してしまったり。
そのため「今はメタ認知の状態で考えられているな」「昨日は感情的になりすぎて疲れてしまったから、俯瞰して考えてみよう」など、自分がどんな状態にあるのか定期的に確認をしてみるのもおすすめです。
自分の行動や思考を整理し、穏やかな心を保ちたい時の助けの1つとして、ぜひ使ってみてくださいね。
感情に振り回されて疲れたら、今日起きたことを文にしてみよう
「メタ認知しよう」と考えると、なんだか難しくてよく分からなくなりますよね。自分の行動や思考を振り返り、理由を考える。そうすることで、自然と自分自身を客観的に捉えることができるようになっていきますよ。
毎日する必要はないので、感情でぐちゃぐちゃになっている時や、よく分からないけれど心が疲れている時に使ってみてくださいね。
「休もう。」は、お休みする方法が分からない方を応援しています。